グアテマラの先生にとって、他の教員の前で授業をするという習慣はもともとなかったため、このように人に見られながら授業をするということは、簡単なことではないはず。
しかし、どの先生も堂々と自分の授業を行ってくれました!
また、今回は同県で働く小学校教育隊員Nちゃんが、今後、任地での授業研究導入を見据えて、同僚を連れてサンティアゴの授業研究に参加してくれました。
実際に、授業研究はどのように進められていくのかを自らの目で見てもらったことで、彼女の同僚にもとてもいいきっかけとなったようです。
私も、そんな機会を提供してくださった先生方を誇りに思いました。
サンティアゴアティトラン市は、ソロラ県で県都以外で最初にボランティアが派遣された場所なので、今後こうしてソロラ県の教育を引っ張っていくという気持ちで先生たちには頑張ってもらいたいです。
授業を見ていて感じたことは、同じテーマ、同じ指導書を使っても、それぞれの教員がもつ個性を使って授業を行うと、十人十色でおもしろいなぁということ。
例えば、ある先生は、私の言うことあまり理解してくれない。
同じことを何度も何度も言わねばならない。
でも、子どもたちに楽しく学ばせるという点ではいろんな技をもっている。
事後検討会は、ファシリテーターという人を中心に進めていくんですが、その人がどう突っ込みをいれ、話題を深めるかがカギになるかと思っています。
しかし、まだファシリテーターもただ項目ごとに質問するだけで、わりと表面的なことだけしか話がでいていないことが多い。
そこで、私がたまに邪魔して質問を投げかけます。
「ここの問題、授業では一発で正解が出てしまったけれど、実際には何人の子が自分のノートに正しい答えを書いてましたか?」
本時の問題に対し、95%の子どもが自力で答えをかけていなかった。
でも、教師がたまたま1人できる女の子を当てて、正しい答えを黒板に書かせたという場面があった。この場面について私が観察者に投げかけたのです。
「みんな正しい答えをかけていなかった。でも、あの子が黒板に書いた瞬間に、みんな消しゴムで答えを消して、書き換えていた。」
「本当はもっといろんな考え方があった。そこを共有することで、もっと学びが深められたかも。」
つまづきがなくすらすら流れていく授業がいい授業というわけではない。
あえて、子どもにゆさぶりをかけ、いろんな見方があって、そのうえで「一体どれが一番いいだろう?」と子ども自身に考える機会を与えることで、より深い学びが実現できるのではないか?
そんなおもしろい内容の検討会にもなりました。
また、ある教室では30人以上の生徒をもつ先生の授業で、観察者の一人が、
「内容はよかったけれど、今日は一部の子どもしか黒板に自分の考えをかけなかった。できることならもっと子ども一人一人が参加できる授業だったらよかったと思う。」
という意見があった。
うんうん、とうなずくだけで話が流れそうだったので、私からの突っ込みをいれる。
「でも、ここには30人以上の子どもがいます。一人一人が前に出て、黒板に自分の考えを書くというのは、時間的に厳しいものがあるかと思います。では、どうしたら全員が参加できる授業が実現できるんでしょう?どなたかアイディアありますか?」
先生A「例えば、グループ活動を入れてはどうですか?」
先生B「ペアでもいいんじゃない?」
というように、先生自身にどういう工夫をしたら、子どもがより参加できる授業になるかという方法がいろいろと上がってきました。
みんなでじっくりとどうやったら学びのある授業が実現できるかを考える。
私が言わなくても、みなさんの知恵をしぼりあえばいろんな可能性が広がる。
これが授業研究の醍醐味だなぁと思います。
おもしろい。
最後の15分は、参加者全員での振り返りの時間。