奨学金事業

【トライアル2週間】2日目から来なくなった子どもの話

トライアル2週間が夢の家でスタートしました。

今回は、合計すると4回目の選考なのですが、こうして対面式でレッスンするのは、初めて!

どうして、オンラインで行わなかったかというと毎回トライアルレッスンから携帯電話を貸し出すのですが、候補生が多くなったことで、携帯電話がすべて手配できなくなったことがまず第一の理由。

あとは、場所もあるし、人もいるんだし、対面でやらない理由がむしろない!

ってことで、初めての形になりました。

内容は、基本的に今までやってきたことと同じ。

でも、子どもたちは携帯電話で音を聞いたりすることができないし、単語の学習アプリも使えないので、2週間で覚えてほしいことはすべて初日に紙媒体で渡しました。

そうして、幕開けた初日。

ほとんどの子が時間通りに集合場所に来て、無事に午前の部と午後の部、終了しました。

対面で話すと、その子の人となりがよりわかって面白いものです。

また、今までにはできなかったゲームもしてみたり!

その中に初日からすでに輝いていた男の子がいました。

その子は、算数の問題で唯一全問正解をたたき出した子。

ものすごく優秀でまじめて積極性もあって素晴らしい子を発掘できたなぁとわくわくしていました。

 

ところがどっこい!

2日目の土曜日。

彼の姿はありませんでした。

バネッサに電話をかけてもらうと、母親が出て

「どうしても仕事を休むことができなくって、いけなかったの。この前も仕事のお休みをもらっていったんですが、今日も休ませてほしいって言ったら、それなら別の人を探すからもう仕事はないぞって脅されたようで…。英語はやりたいって言っているんだけど、お金もどうしても必要だから、仕方がなく仕事に行きました。」

と説明してくれたそうです。

その日の夜、バネッサのところにメッセージが彼から届き、

「今日は、いけなくてごめんなさい。仕事をしなくちゃいけなくて、いけなかったんです。覚えるようにと渡された紙も覚える時間がなく、できそうにないです。本当に申し訳ないのですが、このプログラムは辞退しようと思います。ありがとうございました。」

私もバネッサも彼のずば抜けて高い能力と人の好さがすでにわかっていたので、この事態がとても残念でなりませんでした。

とりあえず、もう少し話を聞きたいと思って、今日もバネッサに連絡を取ってもらい詳しく母親から話を聞くと、彼はとある食堂で働いているようでした。

午前校に通う彼は、12時半に学校が終わって、1時からその職場ではウェイターとして夜の7時まで働くのだそうです。それで彼に支払われるのは、Q15(260円程度)。学校がない日は、朝7時から10時間働いてQ20(350円程度)。子どもだからって、あまりの低賃金。

彼はくたくたになって家に帰って、そこからその日の分の学校の宿題を夜遅くまでやるそうです。そりゃぁ、英語なんてやる時間ありませんし、ましてやレッスンに顔出すことなどできないという事情も分かります。

でもなぁ。

これが辞退の理由だとしたら、本末転倒。
私たちは、こういう子どもにこそこのチャンスを与えたいと思っているのですから。

かといって、親の収入も多くない彼の家には、きっとこの低賃金であろうとも彼の収入はきっと必要なものなのだということも理解できます。

ここに私が無責任に、仕事をやめろということもできず…。

でも、この優秀な彼をただの低賃金のウェイターで終わらせるのはあまりにもったいなさすぎると思ってしまい、どうしようかと考えました。

そこでとりあえず、彼がこのプログラムを続けている間は、私が彼に仕事を与えると言いました。

今、6時間働いてQ15だけれど、私の仕事は1時間でQ15。
これなら、彼も勉強する時間が得られるはず。

(永久にってわけにはいかないかもしれないけれど、とりあえずトライアルレッスンと、第3次選考の8週間分は何とか私のほうで仕事とお金を捻出できるだろう)

家庭訪問した時、その子は仕事でいなかったので、母親にこの話をして、あとは本人に考えてもらうことになりました。

どのような回答が来るかわかりませんが、ここまでの人材を見つけておいて、これでさようならするにはあまりに悔しい。

前向きな回答が来るといいなぁと思います。

こういう子どものためのプログラムなんだもの。
彼に、どうかこのチャンスを生かしてもらえたらって思っています。