学校には、いつだって正解が存在した。
だから、人生もいつも正解があり、その道の通りに進めば間違いないと思っていたのに、実際に社会に出てみると、正解など存在しないということがわかってくる。
今日、8歳の男の子を歯医者へと連れて行った。
昨年の英語プログラムを途中でリタイヤした子の弟だ。
中学校には進学しないと決めたその子は、どうしているかな?
もしビーズ製品の仕事を今もやっているなら、彼女にいろいろと注文して少しでもお金が入るといいかなと思って、久しぶりに彼女に会いに行ってみた。
すると、一番下の弟君もニコニコ私の近くにきてくれたのだが、どうやら歯がないで、小さいのに口元が入れ歯を外した時のおじいちゃんみたいになっている。
私は、不思議に思って、どうしたのかと聞いた。
「4歳のころ、歯が折れて全部とれてしまったんだ。」
とのこと。
歯医者にはいったかと聞くと、行っていないとのこと、
私は、口の中の様子が気になって口内を見せてもらった。
本来あるべきであろう前歯当たりの歯が全てない。
奥歯はひどい虫歯で穴がぽっくり開いて真っ黒だった。
食べ物もろくに噛めないそうだ。
8歳の男の子がこんな状態なのに、歯医者にも行けないなんて…。
親も心が痛いだろうなぁ。
歯医者さんの友達がいるから彼に診てほしいと頼もうかな。
でも、そこまで私が手を出すのは、踏み込みすぎかな
治療費を私が払うのは、やりすぎかな。
1人の人にそんなことしたら、あとから問題になるかな。
などなど、いろんな思考がうようよ出てきて、正解がなんなのかわからなくなった。
でも、自分は出会った人を大切にすること、目の前の人に力を注ぐことを決めたはずじゃないか。
無責任に手を貸すのは、よくないことだと人は言うかもしれない。
でも、やっぱり私は一緒に時間を共にした女の子の家族を他人と思えなかった。
だから、今日彼を歯医者へと連れて行った。
今日自分がしたことは、正解だとは思っていない。
でも自分にとっての答えは、こうすることだった。
これからの人生も、きっとたくさんの問いを与えられるんだろうな。
その時は、いつだってきっと正解は用意されていない。
でも、答えは自分で出さないといけない。
人生は、いつまでも難問だらけ。