実家を出るまであと1時間ほど。
今,最後の問題と向き合っている。
「何を選ぶのか。」
という問いに。
スーツケース2つ。
機内持ち込み1つ。
23kg+23kg+10kg
合計56kg
の中に,私の全てを詰めるのだ。
私とともに,グアテマラで生きていく仲間を詰めるのだ。
すでに,諦めたものはたくさんある。
美味しい醤油
そうめん
服
靴
愛してやまない本。
しかし,明らかに56kgを超えているのだ!
くっそーー!!
ここから更に捨てねばならぬだと!!
どれも厳選し,選ばし仲間である。
どれも捨てがたい。
お願いだ。
ぬか床(ぬか漬け作るやつね)だけは,持っていかせておくれよ。
流石にぬか床は,グアテマラでは手に入んないんだよ。
だが,知っているよ。
君は,一人で相当な重量を占めていることを。
君を捨てれば,2,3個のもの代わりに持っていくことができるのだ。
うう・・・
でも,もし君が私と共にいてくれたら,心の満足度が上がることは確かなのだ。
野菜だけ買って,君に放り込んでおけば,手軽に日本を味わえるのだから。
そうだ。君は,魔法の粉なのだ。
私は,君を選びたい。
どうしても捨てたくない。
でも,
でも・・・。
うう・・・
スーツケースはすでに空港へ送ってあるので、最後の決断は羽田空港でいたそう。
私は,一体何を選ぶのか・・・。
どうか,ぬか床と共に出国できる道がありますように。
すでに,醤油とそうめんは諦めたのだ。
ぬか漬けの運命は,いかに!!
となんやかんややっていたら,グアテマラからビデオ電話がかかてきた。
パイロット校の校長先生だった人だ。
どうした?
と思ったら,日本の熱海の災害のニュースがグアテマラにも届いたようで,私の安否を心配してくれて電話をくれたのだ。
彼女には,グアテマラへいくことを伝えていなかったので,
今日の夜,グアテマラに向けて出国だと言ったら,喜んでくれた。
それにしても,グアテマラ人というのは情に熱い人たちだ。
こんなに離れている日本の出来事を,自分ごとのように心配してくれるなんて。
さて,無事に着けるだろうか。