小説のいいところは、自分の中にある言葉にならない思いを、
作家さんの語彙により、
手にとるように感じられるカタチにしてくれるところだ。
小説を読んでいると、その登場人物の気持ちや言葉に
「まさに、そうだよ、それだよ」
と共感することがある。
そのとき、何とも言えない快感を感じる。
ものすごく久しぶりに小説を読んだ。
少し前に話題になった本
『そして バトンは渡された』
ここに登場する人たちは、自分は全く経験したことのない世界の人たちだけれども、
森宮さんの言葉に非常に共感を覚えた。
「親になるって、未来が二つになるということ。」
自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、同時にやってくる。
親になるって、未来が2倍以上になるってことだと。
本当に、そうだ。
そうだと思う。
子どもと関わっていて、心がときめくのは、この瞬間がどんな未来を生んでいくのだろう?
目の前の子どもはどんな未来を羽ばたいていくんだろう?
そんなことを考えられるからだ。
私は、親になったことがないし、これからもならないかもしれない。
でも、学校で働いていて、約30人の生徒の担任としていた時、いつも子どもたちに伝えていた。
『教室は、未来を創る場所』
未来は、今とつながっている。
未来は、未来が作るのではなく、ここにいる自分が作っていくもの。
わたしは、それぞれの未来でみんなが自分らしく生きていくために、成長する機会をこの教室で作っていきたいと、
わたしは、子どもたちに言っていた。
今回、この小説を読んで、
親になると明日が2倍以上になるという表現が気に入った。
本当にそうだ。
そしたら、教師は、生徒の分だけ、明日の数が増えていくとんでもない職業だ。
教師として毎日働くことは、忙しすぎて、しんどすぎて、心折れることもある。
でも、教師にはたくさんの明日がある。
目の前の子どもの分だけ、明日の数が増える。
この職業に就けたこと、改めて感謝したくなった。
小説は、こういう気づきを与えてくれたり、自分の心を開拓してくれるもの。
ありがとうございます。
小説、いいね。
また何か読みたいな。
この小説、今年の10月に永野めい、田中圭、石原さとみで映画化されるらしい。
見てみたいな。