グアテマラとのつながりを探る旅

ヒント3 ミランダという生き方

誰かに惚れたことがありますか?
 
ズキューンと、心を打たれたように、目の前の人の魅力に頭がくらくらすることが。
 
私が
 
「この人の生き様が素敵すぎる。こんな人になりたい!」
 
と思ったことのある人が今までの何人かいた。
 
でも、そんなには多くない。
 
多分片手で数えられる程度の人だ。
 
グアテマラで出会った一人のアメリカ人の女性、ミランダ。
 
彼女は私が惚れた人の一人。
 
彼女に出会ったのは、もう多分3年ほど前。
 
とても偶然な出会いだったけど、偶然にしてはあまりにも影響が大きくて、今思うと必然の出会いだったような気がする。
 
簡単に彼女を紹介すると、グアテマラの民族衣装からかわいい洋服をデザインしてつくっている。
それをアメリカで売り、その収入をこの村の子どもたちへの就学支援に充てている。
彼女の手元に一切そのお金ははいっていない。
↑ミランダに作ってもらったお気に入りの服。
 
前から彼女が就学支援をしていることは知っていたけれども、改めてその話を聞きたくって、今回の旅でも彼女をたずねました。
 

相変わらず、部屋には民族衣装の布が広がっていて、忙しそう。

 

 

以前はなかった新しいデザインの服も増えていた。

 

 

見ていると全部素敵でほしくなっちゃう。

とりあえず、試着で楽しむ。

 

 

一緒に働いているハビエルさんの腕はとてもよく、こだわりぬいた一品をいつも仕上げる。

ここに彼の仕事へのプライドを感じる。

 

 

 

いつものように彼女の工房で楽しい時間を過ごしたのですが、今回は私が聞きたいことをとにかく聞きまくった。

 

どうやってプロジェクトを始めたのか、

どれだけの支援者があり、寄付金があるのか、

どれだけの子どもを支援しているのか、

どんな方法で、

 

などなど。

 

とにかく聞きまくった。

 

そこには、今年で10年になるこのプロジェクトが、失敗や悲しい事件を経験しながら築いてきた上に、今のシステムがあることがわかった。

 

主な支援の方法としては、白石さんと同じく里親制度による支援。

 

しかし、ただ物資を配給するだけでなく、子どもたちを土曜日に勉強させる塾のようなものを開き、そこへ来る子どものみ支援を配給するシステムになっている。

 

そして、一番びっくりしたのが、そのプロジェクトの運営方法。

 

もちろんトップのコーディネーターはミランダなのだが、他に支援をうけている母親たちでつくる委員会があり、5,6人の母親たちが議題について決定権をもっていたり、必要な物資購入などを行っている。(この委員会は、半年ごとにメンバーが交代していく。)

 

 

また、私がどのように支援する子どもを選出しているのか?

 

と尋ねたら、その委員会メンバーとともに家庭訪問し、家族にインタビューをする中で支援に値する経済状況なのかどうかを共に決めるらしい。

 

ということで、ちょうど訪問を予定している家庭があるというので、同行させてもらった。

 

 

ミランダは、現在83歳なのだけれど、背中もピンっとしていて、坂道もすいすい上っていく。

普通に考えたらばあちゃんなのだけれど、どうも私はおばあちゃんというより、おねえさんって感じだと思っている。

 

 

 

結局、家庭訪問して、細かい家庭状況を聞き取り、最後に委員会メンバーで協議し、この家庭は支援に値するという決議をとっていました。

 

ミランダの地元の人とともに、この支援をするやり方は、とてもいいヒントになりました。

 

もちろん、このやり方にも課題はあり、地元の人と組むからこそ生じる問題点もあるようでしたが、10年という時の中でTry&Errorしてきて、その結果が今の姿になっていることを教えてくれました。

 

 

 

ミランダに、どうしてこんなことができるのか聞いたら、その答えの一つにこんなことを言っていた。

 

「私も、若いころシングルマザーで苦労したけど、その時にはアメリカの国の制度に助けられた。私もたくさんの支援を受けてきたのだから、この国で頑張っているシングルマザーに手を差し伸べるのは、当たり前のこと。」

 

 

また、83歳となると、考えたくないけど、ミランダがいなくなったあとどうするんだろう?という疑問が浮かぶ。

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失礼ながら、聞いてみた。

 

すると、もうすでにミランダが死んだらどうするかという話し合いはしてあるそうで、遺書もまとめたといっていた。

 

その内容は、このプロジェクトが今後も続いていけるような仕組みになっているようだ。

 

とことん、すごいよこの人。

 

しびれたよ。

 

83歳という歳で、どうしてこんなにも精力的に働けるのだ?

 

不思議でしょうがないが、私ももし長生きするならば、こういう生き方をしたい。

 

かっこいい。

 

まじで、惚れている。

 

 

 

こんな人にになりたい!

 

と思える人に出会える人生は、本当にすばらしい。

 

日本の子どもたちにも、もっともっと

 

「こんな人になりたい!」

 

と思える大人に出会ってほしい。

 

でも、実際には多くの大人が、毎日愚痴を言って、文句を言って、自分の利益だけを考えている。

 

そんな大人に囲まれて、どうやって子どもは夢がもてるだろうか。

 

子どもには、いい大人にも、反面教師にする大人にも、いろんな大人に出会ってほしいと思う。

 

だからこそ、学校で働く教師は、多種多様で、もっと個性を出せる働き方ができるといいのだけれど、今の学校という組織は、保護者のクレームを受けないように、社会からたたかれないように、生産性、効率性を第一にして、いろんなことを画一的に行っているように思う。

 

「こういうときは、こうする。」

 

と、暗黙のうちに、時に明白に、教師の言動が決められている。

 

ここに、なにやら違和感を感じるんだ。

 

とりあえず、私はミランダという人生の大先輩に出会えたことを心から感謝している。

 

 

 

 

ミランダから学んだこと

・地元の人と二人三脚で活動することで、一人ではできない規模の活動ができる。

・地元の人と働くことで、自分では得られない情報を入手できる。

・自分の才能(彼女の場合は、ファッションデザイナーの)を生かし、それが人のためになる働きになることは、とても豊かな人生を生み出す。

・73歳でプロジェクトを始めたミランダ。そのことを考えると、現在31歳の私がもつ可能性は無限大だということ。

・いくつになっても、なにか夢や情熱をもっている人は、若くみえるということ。