闘病記録

術後の不思議な体験

今日、無事に退院しておうちに帰ってきました!

4泊5日の短い入院でしたが、いろいろと日常とは違う世界の中で、普段は考えないことを考えるきっかけにもなりました。

入院中、辛かったのは、体を動かせないこと。
動かさな過ぎて、3日目から血行が悪くなったからか、背中、腰あたりがめちゃくちゃ痛くなり始めて、寝るのも辛かった。

そういうわけで、病室は11階だったのだが、11階から1階まで階段の上り下りをしてみたり…。

あとは、普段の生活では出会うことがないけれど、本当に苦しい思いをして毎日を過ごしている人がいるということを感じた。

隣で寝ていた中年の女性は、毎日苦しい思いが口からこぼれてしまって、「苦しいよ。つらいよ。帰りたいよ。」などといった声がずっと聞こえて、何とも言えない気持ちになった。

改めて、日々ある日常、なんでもない日常には奇跡が沢山あるのだということ、それをちゃんと生かして、可能な限り自分の命を燃やしていきたいという思いを新たにしました。

 

この入院の中で、一番心に刻まれたのは、手術の日のこと。

少し不思議な体験をしました。

手術自体は簡単なものだったのですが、一応全身麻酔での手術でした。

それで、ドキドキしながら手術室へ歩いて向かい、自分で手術台に乗って、いろいろと確認を受けたのち、麻酔の針がちっく~んと腕に刺された。

すると、ものの5秒くらいで、目が開けられなくなり、そこで意識は消えました。

 

 

「近藤さ~ん、聞こえますか??」

と声をかけられ、手術が終わったと説明を受ける。

その時だ。

とても不思議な感覚だった。

内容は記憶していないものの、どうも私はその間何か夢を見ていた感覚があって、その夢がものすごく温かいものだった感覚があった。

普段見る夢はたいてい悲しい内容だったり、気持ちが沈む内容が多いので、この何とも心温かい状態で目が覚めるのは、何年ぶりだろう?とすごく新鮮な気持ちがした。

あれが何だったのか、よくわからないのだが、
誰かに自分のそのままの存在を愛してもらって、安心感で満たされているような…。
想い人と両想いになったような感覚だと思った。

とにかく、麻酔から目が覚めた瞬間に、心が満たされている感覚があって、ものすごく大きな愛を感じて、気が付いたら私の目からは、涙が…。

手術室にいた看護師さんらしき人もそれに気が付き、

「涙が出ていますね。」

といって、ティッシュでそれをふいてくださった。

(その時、私はまだ頭がぼ~っとしていたし、喉の手術なので、声も出せず、だだなされるがままになっていた。)

そこから、自分の病室に戻ってからも、まだ麻酔が少し聞いている状態でぼ~っと天井を見ながら、まだ残るその温もりを感じていた。

手術というものを受けて、少し自分の「生」というものと向き合ったのだろうか。
その愛のような感覚に包まれながら、私は、

優しい人になりたいなぁ。
欲しがる人ではなく、与えられる人になりたい。

と、頭の中で考えていた。
なんだか心が浄化され、自分の心の奥に眠っている、人としてのピュアな気持ちに触れた気がする。

 

今でも、あの感覚はなんだったのだろうか?

と思う。

いろんな人が私のために、祈っていてくれたからかもしれない。

その愛が夢の中で届いたのかもしれない。

手術は少し怖かったし、術後もどうなっちゃうんだろう?と不安があったけれど、
そんな不安とは裏腹に、私は目が覚めたとき、普段は感じないレベルの「幸福感」を味わった。

その正体はわからないけれども、目には見えない、でも確かに存在するこの愛という存在を感じて、

私はこの命を何かに捧げて死にたいと思った。

普段は、怠惰な面もたくさんあるし、薄情だなぁと思う自分の一面もあるのですが、でもやっぱり心のどこかでは、誰かのためにこの命を燃やしたいって思っているんだ。

そんなことを感じた術後の一コマでした。