日本時間8月7日、グアテマラ時間8月6日に夏休み日グ英会話プログラムの第一回目の1on1英会話が行われました。
まわりからどんな形であれ、スモールスタ―トを切ることが大切だとさんざん言われてきました。
その言葉を信じて、うまくいかなかったとしてもとにかくまずは、やってみる。そういうスタンスで始めた今回のこの英会話プログラム。
先週は、全体の顔合わせ会は、それはそれで感動があったけれど、インテラクティブな関りはありませんでした。
私が一番やりたかったのは、1on1のつながり。
一人の日本人と一人のグアテマラ人。
国境を越え、英語というアイテムでつながること。
そんなことをしたら、どうなるのか?
子どもたちの心に何かが芽生えるのか、
そもそもそんなことは、できるのか?
いろんな疑問をもちつつも、これをやってみたいと思って企画し、ついにこの週末その瞬間を迎えました。
このスタートを切ってみて、ものすごく大きな気づきがあったので、簡単にまとめてみたいと思います。
参加者は6歳から16歳とかなり幅広い層に参加してもらっているのですが、これだけ層が幅広いと、年代別の傾向も見えてきてとても勉強になります。
ということで、年代別の傾向をまとめ、それぞれに改善できそうなことを考えてみます。
【日本人6歳×グアテマラ人10歳】
プログラム最年少6歳の参加。相手は、10歳だけれども英語の学習にかなり困難があるため、6歳の子のレベルとちょうどよいと思い、今回はこのようなペアにした。
グアテマラ人の方は、発音にかなり困難があり、6歳の子はもともとボキャブラリーもない上に、相手の発音が正しくないため、ほとんど会話が成立しない。
ただ、事前に練習しておいた自己紹介の文はお互い上手に言えており、わかるところもいくつかあったようだ。また、写真を見せたり、ピアノの生演奏をしたりと、言葉以外のものの力を借りて、互いの理解を深める姿も大変良かった。家族紹介では、実際にお母さんや妹がライブで登場するなどのシーンもよかった。
先ほど、ほとんど会話が成立しないといったが、唯一Do you like~?の文だけは、お互い意味も分かるし、発音も正しくできるので、このやりとりだけは、私の助けなしに直接子どもたちだけでやりとりができていたように思う。
このペアは、互いの英語力で言えば一番低いペアであったが、双方のやりとりに心が通う瞬間を何度もあったように感じた。
また、やりとりが困難だからこそ、わかったときの喜びはその分大きい。
はやり、壁が厚いことは悪いことではない。そこを越えようとする思いにこそ、価値があると思った。
改善策
→小学校低学年の場合は、自由なコミュニケーションのやりとりをさせるよりも、英文を固定し、決まりきった文型の中で単語を入れかえて自分の聞きたい内容を聞くという形がよさそう。なんでも自由にやらせることがよいのではなく、ある程度決めた枠の中で、コミュニケーションをとってもらうことがいいかもしれない。
【小学生】
日本側の参加者は小4,小5、小6の3名。
そのペアとしては、9歳、12歳、12歳と、大体同じ世代のグアテマラ人。
小学生全体の傾向として、表情がかなり硬く、ものすごい不安感を抱えているように感じた。今回、周りの大人はできる限り援助しないというスタンスでお願いしていたので、初めのあいさつを終えた後は、私もカメラも音声も消し、見守る形で黙っていた。たとえ、困っていそうでも、自らつながろうとする思いをもって殻を破ってほしいと思っていたので、こちらから手を差し伸べるということは極力せずに、助けを求められたときにだけ出た。
しかし、これは結果的に無理をさせすぎたと感じた。両国の子どもたちは、相手のことがわからない、言いたいことが言えないという、今まで味わったことのないリアルな国際交流にかなり戸惑っているように見えた。長い沈黙が続いてしまったり、どれだけ聞き返してもわからなくて、どうしたらいいのかわからず固まってしまう。助けもなかなか求められない。
こういう姿を見て、私自身、小学生に関しては会話の潤滑油的な存在、ファシリテーターがいた方がいいと感じた。まだまだ相手の思いを考えながら、コミュニケーションをとることに慣れていないようなので、本当にどうしたらいいのかわからず固まってしまう。そこをつないであげるサポート役がいた方が、互いに安心して会話を楽しめたかもしれない。
その中でも自分の言葉でつながる瞬間もあったように見え、そこには喜びがあったと思う。ただ、私から見て、楽しさ喜びよりも不安や困り感のエネルギーの方が勝ってしまった気がしている。
改善策
→会話から感じる緊張感がすごいので、初めに緊張をほぐすアイスブレークを入れたい。笑顔になって、安心した上で互いの会話をスタートさせたい。また、小学生もファシリテーターの存在をもっと出してもいいかもしれない。とにかくどう「安心感」をつくるかが、今後の課題。家族に一緒に登場してもらうのもいいかもしれない。
→反応がない。反応の練習をした方がいい。
→伝わっていないのに、どんどん自分のペースで話をしてしまうので、相手に反応させる時間を与えるようにさせたい。
→自信をもって伝えたり、相手を理解できるように、質問や話す内容を固定することもありかもしれない。好きなことを好きなようにいう練習をしても、結局相手に伝わらず、通訳が必要になってしまう。もしくは、写真が具体物を多めに扱うようにさせた方がいいかもしれない。
【中学生】
グループレッスンで行った、あいづちや困ったときの英語フレーズを場面に応じて使えている様子が見られる。小学生に比べ、相手の反応に合わせて自分の発言や反応を合わせられる様子がある。
先に行った小学生の様子を見ていて、ファシリテーターがもう少し出てもいいかもしれないと思ったので、小学生組よりも頻繁に声かけをしてみた。少しの声かけで自信を持てたり、こちらの提案で互いに楽器を演奏したりと、仲介人が入りつつも、楽しい時間は生まれた。
あまり、「自分たちだけで」ということにこだわりすぎなくてもいいのかもしれない。ただ、最後には自分の英語で伝わった、わかったという感覚を本人たちに感じてもらえるかかわり方にしたい。
課題としては、言いっぱなしで相手の反応を見ずに話し手がどんどん自分のペースで話してしまうこと。(小学生と同じく)
ただ、聞き手が素直な反応ができる子の場合、わからないときは、
「Please say it again.」
と、聞き返すことができたり、わからないという反応を表情で伝えられるので、そういう場合は、ちゃんとした双方向のコミュニケーションがとりやすくなると感じた。
改善案
→小学生と同様、反応するバリエーションを持っているようにしたい。英語で分からなくても、うなずきや表情で相手に自分の理解度を伝えるように工夫もさせたい。
→話し手の心遣いを育てたい。自分のペースで好きなように話すのではなく、相手の様子を見ながら、わかっていなさそうなら2回繰り返したり、別の伝え方を考えて粘り強く伝えるなど、話し手の配慮(やさしさ)というものを考えさせたい。
これについては、出川哲郎が非常にたけている。英語など話せなくとも、伝えたいというパッションでなぜか最後には相手に伝わるのだから本当にすごい。あの姿勢を身に着けるような訓練とは、どんなものなのだろうか?
→グアテマラ人、日本人共に、正しく発音できていないことから伝わらないことが結構あるため、発音指導は引き続きしていきたい。
【16歳ペア】
対象年齢は中学3年生までとしていたが、予想外に16歳ペアが1組ができあがった。こちらは、もともと2人ともかなり英語が話せるのでほとんど放置状態で自由に話してもらった。
さすがだった。
小学生、中学生の1on1の後にこのペアの会話を見たということもあり、2人の会話のかけ合いは非常にテンポがよく、英語でお互いのことを紹介し、それに対し反応し、質問し、答えるというリズムが勝手に生まれている。
2人とも、画像や動画の映像を用意していたことも大変よかった。
この16歳ペアと小、中学生の決定的な違いは、ちゃんと相手の言っていることに反応しているということ。また、相手が言っていることがわからなければ、ちゃんと聞き返すことができるということ。
当然、語彙力の違いも他のペアとは違うので、使いこなせる英語の数が多いからこそできるコミュニケーションもあったが、それにしても互いの言っていることに対して反応するだけで、ここまで活気のある英会話になるのかと、私自身大変いい見本を見せてもらった。
小、中学生たちが、この16歳ペアに少しでも近づくには、どんな準備をしたらよいだろうか…。レッスン内容を考えるのに、もう少し分析したい。
とにかく、いろいろな課題と改善点が見つかりました。
それと同時に、新たに挑戦してみたいこと、試してみたいことも浮かんできました。
あと、3回の1on1でどのように子どもたちが変化していくのか、非常に楽しみです!!
さぁ、ラウンド2も楽しくいこう!