4月17日、朝、佐賀駅周辺にて田中先生に初めて対面でお会いし、学校へ送ってくださいました(先生ご自身は、ご退職された身分で顔を出すと、現場が混乱するからということで、現校長先生へ私を引き渡し、ご自身の職場へご出勤)。
まずは、この風景。
麦畑の中、黄色の通学帽が歩いてくる姿は、なんとものどかでした。
正面玄関も、トイレも、廊下も、大変きれいで汚れがなく、なんとなく空気が澄んでいる気がしました。
朝から、わ~わ~騒ぐ子たちもいません。
でも、決して締めつけられている雰囲気もなく、のびのびとしている感じです。
階段には、四字熟語、ことわざ、繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算、英単語が書かれており、ここにもすでに「隂山メソッド」の香りがしました。
8時5分~8時15分 読書
8時15分~8時20分 朝の会
8時20分~8時35分 スキルタイム
どの教室を見ても、スキルタイムの流れとその日に取り扱う内容やページ個所が書いてあり子どもたちは、朝の準備を終えると、どの子もテキスト(該当ページを開いて)やプリントを用意して、読書をしていました。
読書は、黙々と。
高学年では、誰一人話すことはなく、ただひたすら読書に没頭している感じでした。
朝の会は、5分という短さ。
(私などは、連絡や配布物、健康観察で15分くらいかかっていた)
そして、8時20分になると数秒間の「立腰(りつよう)」で目をつむって姿勢を整え、心構えを作ってから、スキルタイムがスタートしました。私は、4年生の学級を見学させていただきました。
音読 5分
まだ、新年度始まって数日というのに、すでにどの学級からも張りのある良い声が響き渡っていました。私が見学した4年生は、「春暁」と「平家物語」を扱っていました。
まずは、母音の発声練習。教師のあとに子供たちが続く。
ここでオンラインではわからなかったことを感じました。
教師の表情がよい!!
教師の目が輝いていて、その目の奥には情熱があることを感じました。
子供たちは、教師の声を真似しているだけではなく、その心構え、表情、熱がそのまま伝染しているように感じました。
扱っている題材は難しいはずなのに、子供たちはすらすらと音読する。
途中、うまく言えないところがあれば、教師はすかさず、繰り返させ、できたところはすぐほめる。即時評価も見られました。
100ます計算 5分
驚くのは、切り替えの素早さ。
音読が終わったと思ったら、5秒後に「よーい、はじめ」とすぐに100ます計算が始まった。驚くべき切りかえであった。
立って音読していた児童たちは、この5秒の間に、椅子に座って、鉛筆をもち、始めの合図を待つのです。撮影した動画を確認しましたが、本当に5秒なのです。
鉛筆のカリカリっとした音だけが響き渡る教室。
一人一人がとにかく鉛筆が燃える如く、手を動かしている。
この教室では、教師がまず子供のレベルを知りたいということで、かけ算を扱っていたが、他学年はひき算を扱っているクラスが多いようだった。
どの計算を扱うかは、担任の意図があるようなのですが、いろいろな先生に話を伺ってみると100ます計算の中でも「ひき算」が要だと言っていた。
一番早い子で1分8秒であった。
早く終わった子も休まず2つ目の100ます計算に突入。
「3分、やめ!」
の合図までひたすら全員が休むことなく、鉛筆を走らせていた。
「昨日に勝った人?」と教師が言うと、ほとんどの児童が手を挙げた。
「よっしゃ~、よくがんばった。」と教師からの言葉。
漢字 5分
「漢字」の一言で、すぐさま切り替え、子供たちは漢字のテキストを用意。
教師の範読に続けてまずは、読み。これまたとても張りのある声。
そのあと、指書きして、なぞり書き。時間が余れば、次の指示があるまで各自指書きを続ける。
そのあと、繰り返し新出漢字を書く。
そのあと、プレテスト。
続いて、各自丸付け。
時間が余れば、次の指示があるまでひたすら書く。
この間教師は、教室をぐるぐるし、個別に声をかけていく。
最後に、「テスト」の声で、子供たちはテスト用のページを開く。
教師「3番、15秒。ようい、はじめ。」
子供たちは、、15秒で3文字の漢字を空欄に書く。
教師、「立腰、やめ」
で、スキルタイム終了。
この後、教師のもとへ一人ずつ漢字ドリルを出しに行き、教員による丸付け。
教師は、温かい言葉をかけながら丸を付ける。
この15分、子供たちは1秒たりとも休むことなくとにかくものすごい集中力と学習に向かうエネルギーを見せてくれました。
とにかく圧巻でした。
全校で取り組むというのは、こういうことなのかと。
私もこれまで小学校で受け持ったクラスはいつもます計算は取り組んできました。
でも、これは次元の違うレベルの基礎の徹底反復。
時代の流れには逆行していると思われるだろうが、ここにはだれもが伸びる実践があると感じました。
いろいろ思ったことはあるのですが、特に心に残ったのは「教師の姿」です。
子供の姿がすごいのですが、それを引き出している教師の技術と熱量。
そして何より、チームで取り組むこと。
こちらの学校の先生はどの先生も、このスキルタイムの意義を理解したうえで実践している印象を受けました。
決して、ノウハウだけではなく、なぜこれを行うのか、どんな姿を目指すのか。
その共通認識があると思いました。
私は、その教員研修にも興味があり、いろいろと教頭先生にお聞きし、私の疑問に対して、すべて答えていただき、本当にありがたかったです。
グアテマラの先生方にもこれを見せたいと思いが強くなりました。
百聞は一見に如かず。
今回の急なお願いを受け入れてくださり、快く案内してくださった校長先生、教頭先生、担任の先生方に感謝します。
ありがとうございました。
スキルタイム以外でも、他校との違いを感じたので、また別の記事でまとめてみたいと思います。