どうしてあの時、私は君を捨ててしまったんだろう。
ゆきちゃん。
私の大切な宝物だった雪だるまのパペット型ぬいぐるみ。
お父さんがどこかしらのお土産で買ってきてくれて、それから私の一番の宝物になった。
寝るときも、
ご飯を食べるときも、
なにするときも一緒に私と過ごしてくれたのに、
大人になって、本当に必要なものだけを残してあとは全部捨てるんだ!
と思って、断捨離をしたとき、すごく迷った挙句、君を捨ててしまった私。
なぜか昨日、ゆきちゃんを思い出した。
あの時の、無条件に愛おしく、大切に思える感覚を。
今の私が、忘れてしまっている感覚を。
最後になでなでしてから、ありがとうと言って、この手でゆきちゃんをごみ袋に入れた。
なのに、今更、ゆきちゃんに会いたくなった。
あの時の私の判断は、正しかったんだろうか。
人生で本当に大切なことは、心から愛する存在がいるということ。
その感覚を、今の私はもう一度思い出したいんだ。